基礎獣医学 書評

生理学:動物生理学―環境への適応

2016/05/16   -

動物の生理学の本.単に生理学の内容を淡々と語るのではなく,深く理解する為には欠かせない物理学・化学的観点からの説明も為されています.そのため,丸暗記に頼らずに済む勉強ができ、ものすごくクオリティーが高いです.
しかし,誤訳・誤植が結構あるので,原著を読んだ方が良いと思いました. 故に満足度は少し低いです.良い本なのに残念です.(NaO)

生理学:獣医生理学

2016/05/16   -

Bradley G. Klein, 高橋迪雄, 文永堂出版, 2000
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獣医生理学の教科書.動物だけでなく,ヒトにも当てはまる内容が多いです.章末には“臨床との関連”と称した,病態生理学の項もあります.加えて,練習問題も付いており,この練習問題を解くことでその章の内容のおさらいもできます――という,優れた教科書.
…なのですが,まず,図も字も全て白黒でちょっと読みにくいです. そして,内容が古い(これの原著が出版されたのは1997年,この訳本が出版されたのが2000年).さらに,訳本独特の読みにくさがあります.原著は評判が良いので,獣医生理の勉強をしたい方は,原著の最新版(Cunningham's Textbook of Veterinary Physiology, 5th Edition)を買う事をオススメします.(NaO)
原著-Cunningham's Textbook of Veterinary Physiology, 5e

生理学:標準生理学

2016/05/16   -

標準シリーズの生理学。生理学テキストに比べるとかなり細かく書かれています。ページ数も1000ページを超えます。それに対して、図があまり多くなく、文字が中心です。
私は、生理学テキストを愛用していたので、こちらの標準生理学は参考書として、図書館で立ち読みした程度です。余力のある方は通読するのも良いと思います(酒井)

生理学:Textbook of Medical Physiology

2016/05/16   -

Arthur C. Guyton, John E. Hall, Elsevier, 2006
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生理学のバイブル。1000ページを超える教科書です。現在11版を数える、歴史あるものです。図もフルカラーで、豊富です。かなり詳細に書いてありますので、生理学の調べものにも参考になります。
この教科書の特徴は、教科書と同じ内容がネット閲覧できることです。ネット版の教科書は、随時改訂されているようです。日本語版は未確認です。(酒井)

生理学:生理学テキスト

2016/05/16   -

全編フルカラーで、図が大変豊富な教科書。ヒトに関する生理学の本ですが、多くの点で動物とその機能が共通しています。内容は、他の生理学の教科書に比べると、やや少なめです。
初めて生理学に触れる教科書としては、少々文章が難解に感じます。流れを書くというよりも、事実を淡々と書いてあるので、読んでいて面白くはないかもしれません。一度は通読しておき、勉強が進むにつれて必要な箇所を読み返すというのが良いと思います。(酒井)

発生学:Developmental Biology

2016/05/16   -

Scott F. Gilbert, Sinauer Associates Inc, 2006(ed8)
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発生学のバイブル。実験動物から植物の発生まで、事細かに書かれています。発生学の背景にある、分子生物学的な機構にまで言及されています。図や模式図、写真等もフルカラーですので、図だけを見ても参考になります。
おそらく、ほとんどの人は読む必要がないと思いますが、発生再生学に興味がある人は、図書館等でパラパラとめくるのも良いと思います。(酒井)

発生学:動物発生学 第2版

2016/05/16   -

獣医学領域の動物の発生を学ぶには、良い本だと思います。発生学の背景にある分子学的機構にはあまり触れず、器官別の発生が書かれています。下記紹介する本が、発生学総論的に対して、この教科書は各論になります。
欠点としては、絵も模式図もスケッチも、全て白黒なので、イメージがわきにくいかもしれません(酒井)

組織学:Histology: A Text and Atlas, International Edition: With Correlated Cell and Molecular Biology

2016/05/16   -

Michael H Ross, Wojciech Pawlina, Lippincott Williams & Wilkins, 2010
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ヒトの組織学の教科書です.カラーの図・写真がとても豊富です.1-2ページに1個くらいfigがあります.章末にあるアトラスもすごく豊富.組織学についてだけでなく,顕微鏡の使い方や染色の説明,分子生物学的な細胞内小器官の解説,病理学的な内容(Folder:clinical correlation),生理学的な事項,さらにChapterによっては発生学的な記述もありました.このように,本書には多くの情報が盛り込まれています.(NaO)

組織学:Color Atlas of Veterinary Histology

2016/05/15   -

W Bacha & L Bacha, Wiley-Blackwell, 2000(ed2)-2012(ed3)
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2版:写真が大変美しい獣医組織カラーアトラス。こちらは文字での説明が控えめなので、上記の本と合わせて、文字をイメージ化し、イメージを文字化していくと効果的です。
2007年現在、第二版まで出版されていますが、日本語訳は第一版しかありません。また、原著の方が圧倒的に安いので、これも英語の勉強をかねて、原著で読むことをお勧め致します。(酒井)

2版:アトラスが非常に豊富な獣医組織学の教科書です.文字による説明は必要最低限にとどめ,章末に組織写真がたくさん載っています.動物種は犬,猫,馬,豚,山羊,羊,鶏が対象になっています.英語ですが,すごくオススメの本です(新しい版が出たので,買うのなら新しいほうで勉強しましょう).(NaO)

3版:獣医組織学の教科書の最新版.新しくなって組織写真がさらに増えました.文章による説明も少し追加された印象.この本によって各臓器の組織がどのような構造となっているのかを把握し,部位の名前を英語で覚え,最後に大学の講義で配られるプリント等で日本語名と一致させる――というのが,一番スマートなやり方ではないでしょうか.(NaO)

組織学:獣医組織学

2016/05/15   -

3版:この教科書は、アトラスとして期待してはいけません。組織学を文字で学ぶための教科書として、割り切って使用した方が良いと思います。そういった視点で見ると、この教科書も、光顕レベルだけではなく、電顕レベルまで記述がありますので、参考になると思います。(酒井)

4版:獣医組織学の教科書です.組織切片の写真はごくわずかです.そのため,組織学の勉強にはあまり役に立たず,買ってもほとんど使うことがありませんでした.獣医組織学の本としては“Color Atlas of Veterinary Histology”のほうが断然良いです.(NaO)