2019年獣医な10大ニュース

法律のからむ話題も多く、わかりにくいところもありますが、2019年も色々な獣医なニュースがありました。この1年間でインパクトの大きかった獣医な10大ニュースを紹介いたします。
なお、紹介順は動物種や地域等に基づく、いつものニュースの順であって、重要性で順位をつけているわけではありません。

①畜大・北大、山大・鹿大がヨーロッパの獣医学教育認証取得

北と南の共同課程が、2012年より取り組んできたEAEVE認証の取得を達成しました。これにより国内の獣医学教育が、欧米に近い水準にあることが証明されたかたちになります。また現在、酪農学園大も取得の取り組みを開始しています。

②動物看護師が国家資格化

犬猫ほかについて診療補助、世話その他の看護、愛護・適正使用に向けた助言ほかの支援を担う国家資格とする、愛玩動物看護師法が成立されました。既に働いている動物看護師の対応など、まだ不明瞭な点も多いですが、3年以内に法の内容のすべてが施工される予定です。

③動物愛護法改正

2013年時点で予定していた5年後での改正から1年遅れましたが、動物愛護法が改正されました。要点としては、経過措置で見送られていた子犬・子猫販売の8週齢規制の実現(天然記念物の日本犬は除く)、マイクロチップ義務化(自宅で生まれた場合は努力義務)、虐待の厳罰化など。

④豚コレラ止まらず

昨年に岐阜で発見されて以来、イノシシへのワクチン餌散布、豚へのワクチン接種も行われていますが、いまだ豚コレラが制圧できていません。予防的殺処分も検討されるほか、人のコレラと混同される懸念から、病名をCSF、豚熱に変更する動きもみられました。

⑤ウナギ国内採捕量過去最低

今年はサンマやイカ、サバなどの不漁の報せがありましたが、絶滅危惧種であるニホンウナギの稚魚(シラスウナギ)も採捕量が過去最低でした。輸入で確保も8割が出所不明で、違法の可能性が高いとされます。透明化が叫ばれているものの、実効性にもまた疑問がもたれます。

⑥宮城で県産牛のDNA不一致

石巻市の獣医師が交配した和牛17頭で、本来の父牛とDNAが一致しないことが判明しました。偽装の疑われるところでもありますが、獣医師は故意ではないと供述しており、人工授精記録と異なる牛の精液ととりちがえて使用してしまったと見込まれています。

⑦和牛の遺伝資源流出防止策を強化方針

昨年の受精卵、精液流出事件では家畜伝染病予防法により起訴され、和牛の流出を防ぐ直接の法が存在しないことが明らかになりました。遺伝資源保護体制の希薄に対し、国外持ち出しの禁止や流通履歴の記録義務化、刑事罰を科すなどの方向性が示されています。

⑧カワウソ国際取引禁止

ペットとしても注目されがちなコツメカワウソですが、日本が最大手の密輸先であるなど、国際的に注視されていました。2019年のワシントン条約会議では国際取引が原則禁止となり、日本国内での取引も規制されることになりました。

⑨動物園・水族館の診療支援に一般社団法人

飼育動物の診療が困難な動物園・水族館を支援するために、専門獣医師を派遣し、医療環境の充実をはかる法人が全国初めて設立されました。また、岩手大には、それに先立って動物園水族館動物診療科が新設されました。

⑩動物実験施設でBウイルス病

実験従事者でBウイルス病の患者が2名報告されました。実験施設内でアカゲザルなどからの感染が疑われ、感染拡大の恐れはないものの、詳細はまだ判明していません。