臨床疫学:Evidence-Based MEDICINE-EBMの実践と教育-

EBMのゴールデンスタンダードで、ここから現代EBMが始まったと言っても良いかもしれません。臨床疫学を専門とする医学者の誰もが読んでいるでしょう。それだけあって、課題設定の立て方から文献の吟味、経済分析まで関連事項を網羅したような内容になっています。教育という観点を忘れておらず、実際に手を動かしてみる為の例題に沿って進んでいる部分もあります。
しかし一方で、原点なればこそ、まだ少々ほかの書籍よりわかりにくい部分も存在します。EBMのルーツを探るという目的がないのであれば、その他の入門書のほうがわかりやすい点も多いでしょう。
この分野は医療情報学との関連が深いことからも、著者らは即時的に更新されていくインターネットの可能性に当初(初版は1997年)から注目しています。そして「古い教科書は燃やしてしまいなさい」と彼ら自身が言うように、時代遅れになってしまう書籍のデメリットを補う為に、関連ウェブサイトが随時更新されています。こうした一連の活動から、これが単なる出版活動ではなく、EBM普及のための一大プロジェクトであるということが伝わってきます(kimu)。

-