臨床疫学:エビデンスに基づく獣医療―最新かつ最良の診療方針を決定するために

医学領域においてEBMの概念が提唱されたのは1990年代ですが、獣医療にはまだまだ浸透しているとは言えません。この本は2006年(原著は2003 年)発行ですが、獣医療におけるEBMを扱った(少なくとも日本では)最初のものです。
産業動物と伴侶動物の両方の事例を踏まえながら、エビデンスの階級分けや研究デザインの種類、(最低限の)統計学など、エビデンスを判断するために必要な知識が身につけられます。付録の用語集もコンパクトにまとめてあるので、知識を振り返って確認するのに適しています。ただし、最初の本であるが故か、全体としては少々情報が煩雑な印象を受けます。また、文献の探し方についても記述がありますが、英国に関する情報でありまた検索技術としては少々古い情報ですので、現在の日本の状況と照らし合わせると相違点も多いのが問題です。
獣医療に特化した本であるというメリットも考えられますが、より新しい情報・詳しい情報を望む方は人間のほうのテキストに当たるのが良いかもしれません。(kimu)

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