外科学:ロジックで攻める!! 初心者のための小動物の実践外科学

外科の手術書というと、"古い"あるいは"高い"ものばかりで、なかなかベーシックな教科書はありませんでした。この本は、翻訳書ではないからか、440 ページの分量でフルカラーにも関わらず1万円を越えません。
総論部分では、無菌捜査の基本である手の洗い方からドレープの掛け方、縫合糸の選択、手術器具の名称などにも触れており、まさに学部生が一から学ぶための教科書という様相を呈しています。各論についても診断方法から基本的な術式まで丁寧に解説されていますが、避妊・去勢や乳腺腫瘍切除から肺葉切除まで外科実習でやりそうな術式に限定されており、整形外科やそのほかの特殊な術式などについてはあえて掲載されてませんので、そうした部分については別の書籍で補うことにはなります。
全体として写真やイラストが多く、解剖生理や病理などの理論もしっかりした内容になっています。また、随所に様々なエビデンスも盛り込まれており、ある程度習熟している獣医師にとっても参考に値するものでしょう。これからの獣医学生および小動物臨床家はみな買うことになる一冊だと思います。 (kimu)

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