公衆衛生:病魔という悪の物語 チフスのメアリ

公衆衛生の考えが未だ発展途上の1900年代はじめにチフスの保菌者(キャリア)となり、周囲への感染被害のために隔離生活を送ることとなった「チフスのメアリー」を紹介する一冊です。稀代の魔女のように扱う例もあるのに対し、本書では冷静に経過が記述されていて読みやすい文体です。
近年でも、新型インフルエンザ(パンデミック H1N1 2009)の感染発覚者に対する厳しい見方が当初あったように、感染者差別は現代にも残る課題です。本書は、私たちがどのように感染症に接するべきかを考えさせる、よいきっかけになるでしょう。(kimu)

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