啓蒙書:もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

あらゆるメディアで取り上げられているから、知らない人はほとんどいないかもしれません。でも知っているだけで読んでいない方、ぜひ、読みましょう。とても役に立つし、おもしろい。
野球部のマネージャーとなった女子高生「みなみ」が、野球部総員による工夫を喚起し、試合に勝ち進みます。「みなみ」の影響力は野球部にとどまらず、学内のほかの部活動、地域住民、そして彼女の大切な人へもたらされ、さらに思いもしなかった人物にまで波及していたことに気がつくというストーリーです。
「みなみ」はピーター・ドラッカーの著書『マネジメント』を手本にして、野球部の運営に取り組みます。マネジメント(経営者)のマインドをもって当事者として野球部において真摯に自らの立場をとるのです。組織の経営者はトップの数人だけとは限りません、自らが当事者意識を持てば、誰しも経営者になりうるのです。なにかの組織の一員であるあなたも経営者になれます。あなたも。
マネージャーとなった「みなみ」は、まず誰が野球部にとっての顧客なのか真剣に考えて、それを設定します。これこそが、マネジメントの出発点となっています。ところで、獣医師にとっての顧客とは、誰だろうか考えたことがありますか?
組織において、多面的に考えることの大切さもこの書籍は啓示しています。たとえば、この本によって、「なるほど・・・、会社の上司はこのように思考しているのか・・・」、という思いを得たり、あるいは、「上司である自分はこのように部下に対して実践できているのだろうか・・・」というような反省をすることもできます。会社組織の上司部下、サークルの先輩後輩、学校の先生生徒、家庭の親子といった上下の関係だけでなく、友人同士、恋人同士等の平行な関係のおつきあいにも・・・、役に立ちます。いわんや、動物病院や共済組合という組織においておや。
この書籍には、野球の専門家として、野球部の監督が登場します。この監督は「みなみ」のおかげで、その専門性を十分に発揮することができるようになります。あらゆる専門家にとっての社会活動を円滑にするヒントが隠されています。さて、獣医師という専門家がどのような立場をとれば、自らの専門性を発揮できるようになれるのでしょうか?あるいはその専門性を持った人物とともに、自分がどのように振る舞うと、うれしい結果がもたらされるのでしょう?
その答え、ヒントはこの書籍の中に・・・。(松井 匠作)

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