公衆衛生:エピデミック
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未知の感染症が発生したときに、いかにしてその疾患を定義し、原因や感染経路を探り、その感染を生む“元栓”を閉めるのか。それには病原体も生態系の一部として眺める必要があり、感染症というものに対抗する際の獣医学の意義が、獣医師である準主役の疫学フィールドワーカーの存在を通じ、作品全体から伝わってきます。また、それと同時に、学術的な概念やその必要性、用途などについても平易な言葉で盛り込まれ、わかりやすく理解できるようになっており、獣医学に従事する者が読んでおくべき疫学の入門書とも言えます。
いろいろな伏線をつなぎ合わせるためか、不意に主語が替わり、その把握に困難を覚える点もありますが、小説としても十分に楽しみながら読めるでしょう。(kimu)